ルイス・キャロルの児童文学『不思議の国のアリス』で、主人公のアリスが大きくなったり小さくなったりする場面を覚えているでしょうか。この物語にちなんで名付けられた「不思議の国のアリス症候群(AIWS)」は、実在する知覚の障害です。自分の体が巨大化したように感じる「大視症」、逆に周囲のものが極端に小さく見える「小視症」、あるいは時間が極端に遅く流れるように感じる時間感覚の歪みなど、その症状は多岐にわたります。
多くの場合、この症状は発熱時や偏頭痛の予兆として現れ、大人になるにつれて自然と消失すると言われてきました。しかし、実際には大人になってからもこの症状を抱え続け、誰にも言えずに悩んでいる人が少なくありません。彼らにとって、世界は常に不安定で、予測不可能な場所なのです。