「部分入れ歯は60代以上のシニア層が使うもの」という固定観念は、現代の歯科医療現場では通用しません。近年は20代から40代の若い世代でも部分入れ歯を装着する事例が増加しています。
その主因の一つが、10代〜20代前半で行った「クイック審美歯科治療の破綻」です。短期間で歯並びを整えるため、健康な天然歯を大きく削って神経を抜き、セラミックの差し歯を連結させた結果、30代を迎える頃に歯根の破折や重度の根尖病巣が発生。土台となる歯を失ったものの、顎の骨が薄くインプラントが打てないため、やむを得ず目立たない部分入れ歯を選ぶというケースです。
また、過度なダイエットによる栄養失調やドライマウス、日常的な強い食いしばり(ブラキシズム)によって歯を失う若年層も報告されています。外見からは決して気づかれませんが、華やかに見える世界であっても、歯の喪失という現実に直面している若者は確実に存在しています。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
数々の症例と現場取材を踏まえ、部分入れ歯(特にノンクラスプデンチャー)が向いている人と、別の治療を検討すべき人の明確な判断基準を提示します。
【部分入れ歯(ノンクラスプ)が適している人】
- 糖尿病や骨粗鬆症などの基礎疾患があり、外科手術を避けたい人
- 仕事の都合上、顔の腫れや数ヶ月に及ぶ長期治療期間を確保できない人
- インプラントの1本40万円以上の高額費用を抑えつつ、見た目の美しさを死守したい人
- 周囲の残っている健康な歯を大きく削るブリッジ治療を避けたい人
【慎重に検討すべき人(インプラント等が推奨される人)】
- 硬い食べ物を自分の歯と全く同じ感覚で力強く噛みたい人
- 毎食後の取り外しや専用洗浄剤を使った日々の手入れを面倒だと感じる人
- 就寝時やパートナーの前で義歯を外す行為に強い心理的抵抗(恥ずかしさ)がある人