かつての館内は、まさに庶民のエンターテインメントの宝庫であった。職人が手塩にかけたサウナ室は適度な湿度の高温サウナとして知られ、水風呂との冷冷交互浴を楽しむ愛好家で終日熱気に満ちていた。
さらに、大広間で日替わり上演されていた大衆演劇は高齢者を中心に絶大な人気を誇った。役者の熱演に拍手喝采が送られ、終演後には宴会場でビールを傾ける光景が日常であった。この独特で人間味あふれる温もりは、過去にNHK『ドキュメント72時間』でもドキュメンタリーとして取り上げられ、全国の視聴者に強い印象を刻んだ。ただ身体を洗うだけでなく、人と人とが交差する生き生きとした人間模様がそこには存在していた。