『眠り姫』の歌詞を深く読み解くと、グリム童話やディズニーアニメで知られる一般的な「眠れる森の美女」の構図が見事に反転していることに気づかされます。
おとぎ話における眠り姫は「王子のキスによって目覚め、ハッピーエンドを迎える」物語です。しかし、セカオワの『眠り姫』で描かれる主人公は、愛する人が安らかに眠る姿を見つめながら、「もし目覚めさせなければ、この人は傷つくことも老いることもなく、永遠に美しいまま守られるのではないか」という葛藤を抱きます。
歌詞の中盤から後半にかけて描かれるのは、現実の残酷さです。どれほど深く愛し合っていても、人間には必ず「死」という絶対的な別れが訪れます。「いつか君がいなくなってしまう世界」に怯えながらも、主人公は最終的に彼女を起こし、限りある有限の時間を共に生きる決断を下します。おとぎ話の永遠を否定し、痛みを伴う現実の愛を選ぶという鮮やかな伏線回収こそが、聴き手の胸を強く揺さぶるポイントです。