能町氏のプライベートにおいて、性別に関する歩みと同じく大きな注目を集めたのが、ゲイライターであるサムソン高橋氏との共同生活および結婚です。ふたりの関係性は、従来の男女関係や婚姻の概念を根底から問い直すものとして知られています。
ふたりがパートナーシップを結んだ最大の理由は、「恋愛感情や性的欲求を伴わない、お互いの利害と好みが一致した同居・協力関係」の構築でした。能町氏は著書『結婚の奴』の中で、恋愛感情に基づく結婚制度に疑問を感じていたこと、そして信頼できる友人と人生の基盤をシェアする「結婚の試行」に踏み切った経緯を克明に記録しています。
法的な手続きの有無や世間一般の夫婦像にとらわれず、住居を共にし、家事や経済を分担しながら互いの自由を尊重し合うスタイルは、家族の多様性が叫ばれる現代において先駆的な実践例として受け止められています。