ウォルト・ディズニー・ピクチャーズが2014年に世に送り出した実写映画『マレフィセント』は、従来の「勧善懲悪」というシンプルな枠組みを打ち砕いた。物語の主役は、王国を呪う邪悪な妖精。しかし、スクリーンの向こう側に広がるのは、傷つき、裏切られ、それでもなお愛を捨てきれなかった一人の女性の壮絶な生き様だ。
光輝く妖精の国「ムーア国」の守護者だった彼女が、なぜ恐ろしい魔女へと変貌を遂げたのか。その背後には、人間の王ステファンの醜い野心と裏切りが存在した。若き日の恋人に翼を奪われた絶望が、彼女を暗黒へと突き落とす。ダークファンタジーとしての重厚な世界観は、観客の同情と共感を誘い、ただの「ヴィラン(悪役)」ではない立体的なキャラクター像を確立した。