議論の人物像を理解するうえで外せないのが、彼の圧倒的なアカデミックキャリアだ。東京大学で理学部と法学部を卒業後、同大学院理学系研究科を修了し、クオリア(意識の質感)を研究対象として世に知られるようになった。さらにソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)のシニアリサーチャーとして長年活動し、最先端の知見を社会へ提示してきた実力派である。
脳科学の知見をベースにした彼の語り口は、専門的でありながら日常の思考に引き寄せた分かりやすさがある。研究者として培った膨大な知識と問題意識が、彼の言葉の力強さを支えているのは間違いない。だが同時に、その高度な理論的背景が一般的な感覚と乖離した発言へとつながり、摩擦を生む一因ともなっている。