本作の魅力は主役級のキャストだけに留まらない。脇を固める個性豊かなバイプレイヤーたちの存在が、物語のリアリティと奥行きを格段に引き上げていた。シルクレイと呼ばれる特殊素材の開発者・飯山晴之を演じた寺尾聰の枯れた色気と狂気的な職人魂、そして飯山を支える妻役のキムラ緑子の温かさは、物語に深い情緒をもたらした。
さらに歌舞伎界から参加した市川右團次は、シューズのアドバイザー・村野尊彦役として圧倒的な風格を漂わせた。選手の足元を誰よりも気遣い、大手メーカーの利益至上主義に反旗を翻してこはぜ屋に合流する決断は、視聴者の胸を熱くさせた。ダイワ食品陸上部監督を演じた音尾琢真の厳しくも温かい眼差しも、茂木の成長には欠かせない要素だった。
敵役を演じたピエール瀧や小籔千豊の冷徹なヒールぶりも見事だった。彼らが徹底して非情なビジネスロジックを突きつけるからこそ、泥臭く情熱で立ち向かうこはぜ屋の姿が鮮烈な輝きを放ったのだ。