だが、この冷徹でスマートに見える関係性にも、重大な穴が存在する。家事事件に詳しい弁護士は、「民法上の婚姻関係が成立している以上、いくら私的な契約書を交わしていても法的義務が優先される」と警告する。
例えば、途中でどちらか一方に本気の恋愛相手ができた場合や、契約破棄を申し出た際の財産分与トラブルだ。「性交渉を持たない」という取り決めがあっても、裁判所がそれを法定離婚事由として認めるかどうかは別問題である。契約書に「違約金」を明記していても、公序良俗に反するとみなされ無効化するリスクも潜む。書類一枚で割り切れるほど、既存の婚姻法制度は甘くない。