では、現代医学においてコーラが医療行為に使われるケースとは一体何なのか。その唯一にして最大の解が、消化器内科学の分野で実施される胃石溶解療法である。胃石とは、胃の中で消化されなかった食物繊維などが粘液と混ざり合い、カチカチの石のように固まってしまった病変を指す。
特に日本で多いのが、柿に含まれるシブオールというタンニン物質が原因で生じる柿胃石だ。これを放置すると胃潰瘍や腸閉塞を引き起こすため、従来は外科手術や内視鏡による砕石が必要だった。しかし、炭酸水素ナトリウムや強い酸性(pH2.6前後)を持つ特定の炭酸飲料を胃内に注入・大量飲用させることで、胃石の表面を軟化・溶解させる手法が開発された。日本消化器病学会の症例報告等でも、手術を回避できた切札として報告されることがある。だが、これはあくまで「柿胃石」という特殊な病態に対するピンポイントの治療であり、一般的な胃炎や胃痛の治療薬として機能するわけではない。