まず物理的なアプローチ、すなわち密着した陶器を外す道具として五円玉を用いた場合のお茶碗に五円玉の科学的根拠を検証します。器同士が重なって抜けなくなる現象は、隙間に入り込んだ水分の表面張力に加え、内部の空気が冷えて気圧が下がる「減圧状態」によって生じます。大気圧が上部の器を強く押し付けている状態です。
この強固な密着状態に対し、厚さ約1.5mmの五円玉を差し込もうとしても、隙間が極小であるため物理的に刃が立ちません。無理に金属を押し当ててテコの原理を働かせようとすれば、集中荷重によって陶器の釉薬(ゆうやく)が剥離するか、縁が不可逆的に欠損します。つまり、物理ハックとしてのお茶碗に五円玉の効果が嘘と断定される理由は、気圧差を解消する気体経路を確保できず、素材の硬度差で陶器側が負けてしまう力学的限界にあります。
一方、精神的・開運的な文脈における「金運向上」についても、認知心理学の観点から説明がつきます。特定の行為を行った後に起きた幸運だけを記憶し、起きなかった無数の日常を忘却する「確証バイアス」が働いているに過ぎません。効果があったと主張する投稿者の心理には、五円(ご縁)という語呂合わせに起因するプラセボ効果が色濃く反映されています。