日本の製造業において、品質の再現性を支えているのがJIS規格に基づく溶接開先形状の標準化です。日本産業規格(JIS Z 3001やJIS Z 3604等)では、溶接姿勢や溶接法(手溶接、半自動溶接、サブマージアーク溶接)ごとに推奨される標準開先寸法が細かく規定されています。
また、設計者の意図を加工者や溶接工へ正確に伝える伝達言語が、溶接記号における開先表示(JIS Z 3021準拠)です。溶接記号は「基線(水平線)」と「矢(矢印)」を基本構造とし、基線の上に開先形状を表す記号を配置します。
例えば、V型開先であれば「V」、レ型(片側のみ斜めにする形状)であれば「片側が斜めの線」、X型開先であれば基線を挟んで上下に「V」が組み合わされた形状で図示されます。さらに記号の左右や上下には、開先深さ、ルート間隔、開先角度、仕上げ方法(グラインダー仕上げなど)の数値がルールに従って記載されます。図面上の記号を誤読して開先角度を10度間違えたり、ルート面を取り忘れたりするだけで、完成品の耐力検査で全数不合格になる事態も珍しくありません。設計と現場が共通規格を通じて完全に意思疎通を図る体制が極めて重要です。