2014年に放送された大河ドラマ『軍師官兵衛』の最終回「乱世の終わり」は、歴代大河屈指の名ラストシーンとして今なお語り草となっています。岡田准一が見せた、肉体が崩壊しつつも知性の眼光だけは鋭く光らせた臨終の演技は、歴史ファンの間で高い評価を獲得しました。
ドラマでは、関ヶ原の戦いにおける九州席巻の野望が潰えた後、愛妻・光(中谷美紀)に見守られながら、自らの生きた激動の時代を振り返り、安らかに旅立つ姿が情感豊かに描かれました。岡田准一は当時の制作インタビューで「官兵衛の背負った業や孤独、そして最期にすべてを手放す達観をどう表現するかを徹底的に突き詰めた」と述懐しています。
一方で、史実における最期の現場は、ドラマの叙情的な空気感よりもさらに冷徹でプラグマティックなものでした。官兵衛は伏見屋敷で床に伏せりながらも、嫡男・黒田長政に対して極めて現実的な政治判断を下し続けていました。ネット上の歴史コミュニティでも「大河の感動的な看取りシーンも素晴らしいが、史実の官兵衛が死の直前まで見せた『怜悧な合理主義』こそが本領」といった考察が多く見受けられます。