天然のシラスウナギに一切頼らず、人工孵化させた親魚から次の世代の稚魚を育てる「完全養殖」。食卓から蒲焼きが消える事態を防ぐための切り札として、長年研究が続けられてきた。取材班が現場の研究拠点を訪ねると、2026年現在、量産化に向けた技術革新が大きな節目を迎えていた。
「最大の壁だった初期微小餌の選定と、幼生の大量生存率の低さが劇的に改善しつつある」。研究開発の現場責任者は確かな手応えを語る。かつては数パーセント以下に過ぎなかった生存率が、特殊な飼料配合技術と自動循環型の育苗システムの開発によって大幅に向上。商業ベースでの大量出荷に向けたコスト削減のハードルは依然として存在するが、完全養殖ウナギが一般のスーパーや飲食店に定着する日は、着実に近づいている。