地下鉄の立体表現を語る上で絶対に外せない存在がある。建築家でありクリエイターの井上洋司氏が手掛けた名作「東京動脈」だ。地下鉄の路線を透明なアクリル管と色鮮やかな液体で見事に可視化したこの立体模型作品は、登場当時、美術界と交通業界の双方に強い衝撃を与えた。
複雑怪奇な地下空間を「都市の血流」になぞらえ、直感的なインフォグラフィックへと昇華させた井上氏の表現力。単なる案内図の枠を飛び越え、アートの領域へと到達したその手法は、現在のデジタル空間における高精度な立体マップ表現の原点となり、多くの後進クリエイターたちに多大な影響を与え続けている。