1994年、『週刊少年ジャンプ』で連載が始まった当初、時代劇という題材は少年誌において「ヒットが難しい鬼門」と目されていた。そのジンクスを鮮やかに打ち破ったのが和月伸宏の卓越したセンスだった。歴史の暗部である幕末の動乱を背景にしつつ、少年漫画特有の躍動感とスタイリッシュな必殺技を融合させた構成は、瞬く間に読者の心を掴んだ。
主人公・緋村剣心は、無敵の英雄ではなく、かつて人斬りとして多くの命を奪った罪悪感を背負い続ける贖罪の男だ。この重厚なキャラクター造形こそが、従来のバトル漫画と一線を画す深みを生み出した。集英社社内でも異色とされた企画を大ヒットへ導いた背景には、当時の編集部との丁々発止のやり取りや、アメコミからの意匠の導入など、作者の貪欲な創作実験があった。