京都府内で需要を満たすことができない構造が生み出したのが、隣県への需要移動である。比叡山を挟んだ東側、滋賀県大津市に位置する「雄琴(おごと)温泉」が、その受け皿となった。
おごと温泉は、平安時代に最澄によって開かれたと伝わる1200年の歴史を持つ湯の町だ。しかし、昭和30年代後半から40年代にかけて、近畿圏の大都市からのアクセス性を強みとして、急速に歓楽街化が進んだ。
- アクセスの優位性:JR京都駅からJR湖西線に乗車し、おごと温泉駅まで約20分。車でも比叡山ドライブウェイや国道161号を経由して短時間で到達可能。
- 法的区画の成立:昭和期の法改正以前に多数の店舗が営業拠点を確立していたため、既得権(既存不適格を含む)としての営業権が維持された。
- 広域需要の集積:京都府内だけでなく、大阪や奈良、北陸地方からの需要を一手にかき集める一大風俗街へと発展した。
現在でも、実質的に「京都の風俗需要を支える外部拠点」として機能しているのが雄琴温泉である。京都のホテルや観光案内所で夜の歓楽街について尋ねた客が、滋賀県側を案内されるケースが多いのも、この地理的・歴史的経緯による。