境内を歩くと、足元に敷かれた石畳が中央に向かって菱形に組み合わされていることに気づく。これは「龍の背の鱗」を模したものであり、参拝者は知らず知らずのうちに龍の背の上を歩いて本堂へと導かれる仕掛けだ。建築の細部一つひとつに意味が込められている。
また、斎堂の廊下に吊り下げられた巨大な木製の魚「開榜(かいぱん)」も見逃せない。口に丸い玉を咥えた巨大な魚の姿は、日常的に使われている「木魚」の原形とされるものだ。叩くことで時の報知や修行僧への合図に使われてきたこの魚榜は、400年近い時を経た現在もなお現役でその役割を果たし、独特の刻(とき)の音を境内に響かせている。