プロスポーツ業界において、アスリートの肉体と精神の維持は家族の協力なくして成立しない。捕手時代に培われた屈強な体躯も、監督就任後のハードな遠征生活も、すべては家庭での徹底した体調管理に支えられている。
めぐみ夫人が最も心を砕いてきたのが食事のマネジメントだ。栄養バランスへの配慮はもちろんのこと、連戦で疲労困憊した胃腸に負担をかけないメニュー構成や、勝負どころでスタミナを切らさないための工夫が日夜凝らされている。アスリートフードに関する知識を独学で深め、季節や試合展開に応じた献立を用意する手腕は、もはや専属トレーナーの域に達しているといっていい。
食事以上に重要なのが「感情のデトックス」だ。敗戦の夜、どれほど悔しさを滲ませて帰宅しても、食卓にはいつも通りの穏やかな時間が流れている。野球の話を無理に聞き出すことはせず、温かいスープと何気ない日常の会話を用意する。その静寂の気遣いこそが、指揮官の神経を休める最高の特効薬となっている。