時計の針を少し戻そう。数年前、NAND型フラッシュメモリ市場は未曾有の過剰在庫と価格暴落に見舞われていた。競合他社が減産と設備投資の縮小に追われる中、キオクシアもまた苦しい耐えの時期を余儀なくされていた。しかし、2026年の現実は一変している。生成AIの急速な普及に伴い、データセンターで求められる記憶媒体の仕様が劇的に変化したからだ。
単なる容量の拡大ではなく、驚異的な処理速度と電力効率を兼ね備えた最新世代のエンタープライズSSD(eSSD)需要が急増。同社の四日市工場および北上工場から出荷される最先端フラッシュメモリは、引く手あまたの状態が続いている。「メモリの冬」を耐え抜いた末に訪れたこの空前の好況こそが、巨額還元を可能にした原動力だ。