「謹呈」「進呈」「寄贈」の3つは、どれも「品物を贈る」という共通点を持つため混同されやすい。しかし、贈る対象と文脈を誤ると、時に無礼な印象を与えてしまう落とし穴が存在する。
まず「進呈(しんてい)」は、目下や同等の立場にある相手、あるいは不特定多数のお客さまに対して物を差し上げる際に使う言葉だ。「ご来場者にノベルティを進呈」「ポイントを進呈」といった表現が典型である。これを敬うべき取引先の社長や恩師に対して「新刊を進呈いたします」と言ってしまうと、相手を見下したようなニュアンスが含まれてしまうため注意が必要だ。
一方、「寄贈(きぞう)」は贈る相手が「個人」ではなく「学校・図書館・病院・自治体などの公的機関や団体」である場合に用いられる。「母校の図書館に図書を寄贈する」「市民病院へ車椅子を寄贈する」といった使い方が正解となる。個人の恩師へ本を届ける際に「寄贈します」と書くのは、文法・マナーの両面で不自然である。
要約すれば、個人かつ目上の相手(または敬意を表したい相手)には「謹呈」、目下や一般的な顧客へは「進呈」、公的団体や施設へは「寄贈」と使い分けるのが鉄則だ。