幕府の情報収集能力を象徴するのが、長崎の人工島である出島だ。ここにはオランダ東インド会社の商館が置かれ、ヨーロッパやアジアの最新動向が直輸入されていた。
オランダ船が入港するたび、商館長は「オランダ風説書」と呼ばれる海外情報レポートを幕府に提出することが義務付けられていた。ヨーロッパでの戦争、植民地競争、科学技術の進歩など、幕府の首脳陣は地球の反対側の出来事を詳細に把握していた。1853年に黒船を率いてやってきたマシュー・ペリーの来航すら、幕府にとっては寝耳に水ではなく、事前に情報を入手して対応を策定していた事実が判明している。