あらゆる役柄を自在に演じ分けてきた菅田将暉だが、本作で見せた存在感は過去のキャリアの中でも際立っている。彼が演じる主人公は、思わぬ窮地に追い込まれ、幾度となく絶望的な選択を迫られる男だ。絶体絶命のピンチにおいても諦めず、泥臭く這い上がる姿は、観る者の胸を熱くさせる。
特に圧巻なのは、物語のクライマックスにおける数分間に及ぶ長回しの長台詞だ。一切の誤魔化しが利かないカメラアングルの中で、表情の微細な変化だけで主人公の葛藤と決意を見事に描き切った。試写室からは終演後、惜しみない拍手が巻き起こったという。菅田の圧倒的な熱量が作品全体を牽引し、観客を最後まで飽きさせないスリリングな展開を生み出している。