ドラフト5位で北海道日本ハムファイターズに入団した柿木を待ち受けていたのは、プロ野球という最高峰の過酷な現実にほかならない。日本野球機構(NPB)の一軍マウンドは、高校時代の成功体験だけでは容易に通してくれない甘くない世界だった。
制球の乱れやフォームの模索、故障との戦い。結果が出ない焦りが重なり、チーム内での立ち位置も徐々に厳しいものとなっていった。一時は支配下登録から外れ、育成選手制度のもとで背番号3桁からの再出発を余儀なくされる時期も経験した。かつての英雄が泥にまみれ、二軍のグラウンドで黙々と汗を流す日々。それは彼にとって、己の野球観を根底から見つめ直す試練の時間であった。