寛一郎の真骨頂は、ジャンルを選ばない柔軟な適応力にある。重厚なセットと所作が求められる時代劇において、彼の長身と低く響く声は圧倒的な説得力を持つ。刀を構えたときの重心の低さ、影のある横顔は、往年の銀幕スターが放っていた匂いをそのまま現代に蘇らせたかのようだ。
一方で、現代劇の繊細なヒューマンドラマでも抜群の輝きを見せる。心に傷を負った青年、日常に埋没しながら葛藤する若者など、どこにでもいそうで誰にも真似できないリアルな質感を作り出す。血筋というアドバンテージを武器にするのではなく、徹底した人間観察とストイックな役作りで作品に奉仕する姿勢が、映画監督たちを惹きつけてやまない。