神奈川県横浜市に拠点を置く大野一雄舞踏研究所は、彼女にとって感性を磨き上げた聖地と言える。ここでは大野一雄のみならず、その意思を継承する大野慶人の指導のもと、肉体の可能性を根底から見つめ直す日々が重ねられた。この深い修行の時代に培われた精神的骨格が、現在の彼女を支える揺るぎない基盤だ。
しかし、彼女の創造性は過去の伝統に留まらない。舞踏の持つ呪術的で濃密な肉体性に、現代的なコンテンポラリーダンスのしなやかな美意識、さらには実験的な前衛演劇のエッセンスを貪欲に融合させていった。ジャンルの壁を軽やかに飛び越えるそのアプローチは、カテゴリーに縛られない新たな舞台芸術のあり方を提示している。