作中で圧倒的な絶望感をもたらしたのが戸愚呂弟の「筋肉操作」である。妖気の出力に応じて自身の肉体を徐々に肥大化させ、30%、80%、そして100%へと限界突破していく戦闘スタイルは、読者の心理に強烈なトラウマと興奮を植え付けた。
100%の状態に達した戸愚呂弟は、周囲の弱小妖怪たちの魂を吸収してエネルギーに変えるほどの凶悪なオーラを放出する。しかし、その歪んだ強さへの執着は、人間としての弱さを捨て去るための悲痛な逃避でもあった。肉体を究極まで鍛え上げ、純粋な暴力を極めた裏には、己を破壊してくれる「真の強者」を待ち望む矛盾した心理が隠されていたのである。