静寂を保っていたはずの島に、世界中から熱い視線が注がれる契機となったのは、デジタル世界の圧倒的な没入感だった。世界的な大ヒットを記録したPlayStation 5のオープンワールド時代劇アクション『Ghost of Tsushima: 壱岐之譚』である。美しくも過酷な歴史の舞台として描かれたこの島を自らの足で確かめたいと、コントローラーを置いたゲーマーたちが次々と海を渡っているのだ。
さらに近年では、Netflixによる歴史ドキュメンタリーや映像作品のロケーションとしても注目度が急上昇している。画面越しに見た息を呑む断崖絶壁や古戦場の跡地、深い杜に守られた古社をリアルに追体験する「メディアコンテンツツーリズム」の波。虚構と現実の境界が溶け合う場所として、島はかつてない文化的磁場を放ち始めている。