物語の最終幕となる第205話「幾星霜を煌めく命」では、平和を取り戻した大正時代から遥かな時が流れた「現代」の様子が描かれています。鬼の始祖である無惨が滅びたことで全ての鬼が消滅したと思われていましたが、無惨の血を引かない愈史郎と茶々丸だけは、日光を避けて生き延びていました。
現代における愈史郎は、正体を隠しながら「山本愈史郎」という名で世界的に高く評価される謎の画家として活動しています。彼が発表する作品は、どれも圧倒的な美しさを放つ「美しい着物の女性の肖像画」ただ一つ。何百枚、何千枚と描かれるその絵のモデルは、言うまでもなく生涯愛し続けた珠世その人でした。
アトリエの窓辺で、鬼として共に生き続ける愛猫・茶々丸を膝に乗せ、静かにキャンバスに向かう愈史郎。人間が通り過ぎていく時代の奔流の中で、彼は今もなお、最愛の女性の姿をキャンバスの上に永遠に刻み続けています。切なくも美しいその結末は、本作が描いた数ある愛の形の中でも、際立って情緒的な余韻を残しています。