テキストだけで完結しない立体的な魅力の立役者となっているのが、絵本『ともだち』におけるイラストレーター・和田誠の仕事だ。玉川大学出版部から刊行されたこの一冊は、活字と絵が見事に共鳴し合う金字塔として長く愛され続けている。
和田誠が描くグラフィックは、無駄を削ぎ落としたシンプルなラインとあたたかみのある色調が特徴だ。重いテーマや静かな問いかけを含んだテキストに対し、あえて明るくポップな視覚体験を重ねることで、作品全体に絶妙なユーモアと親しみやすさをもたらしている。言葉とビジュアルが互いを補い合い、子どもの読者には視覚的な親近感を、大人の読者には奥行きのある解釈を促す構造が見事だ。