本作の大きな柱であるアイヌ文化の描写は、物語に圧倒的な奥行きと倫理的な美学をもたらしている。「天から役目なしに降ろされた物はひとつもない」というアシリパの言葉に代表されるように、自然への敬意と共生の精神は、エゴが渦巻く金塊争奪戦の中で眩いばかりの光を放つ。
過酷な北海道の大自然において、生きることは他者の命をいただくことと同義だ。「ヒンナ(感謝)」や「チタタ(プ)」といった日常の何気ないやり取りの中に潜む哲学は、壮大な歴史冒険ロマンとしてのストーリー展開を単なる宝探し以上の「人間ドラマ」へと昇華させている。死と隣り合わせの冒険だからこそ、命の重みを説く一言ひと言が深く心にしみ渡るのだ。