建築家・坂茂(ばん しげる)の手によるこの構造体は、現代建築が地域固有の景観とどのように対話できるかという問いに対する一つの究極の解答だ。地元産の富士ヒノキを組み上げた逆円錐形の木格子は、どこか日本の伝統的な編み籠を思わせる温かみを醸し出しつつ、ダイナミックな曲線を描く。
木材という生きている素材を使うことで、時間の経過とともに建築自体が風景に馴染んでいく。ガラス壁の透明感と、木格子の柔らかな影の重なり。陽の光が差し込む角度によって、床に落ちる影の模様は刻一刻と表情を変える。環境との調和を目指す建築思想が、構造体の隅々にまで浸透している。