フランスパンの神様と称されたフィリップ・ビゴが日本に伝えた伝統的な製法と精神は、現代の日本の製パン業界にも脈々と息づいている。その豊かなヴィエノワズリーの系譜にありながら、株式会社三日月屋のアプローチは極めて独創的だ。一般的なクロワッサンが「軽やかなサクサク感」のみを追求するのに対し、三日月屋は低温で丸一日以上じっくりと発酵させることで、小麦本来の力強い風味と奥深い弾力を引き出す。
熟練の職人が気温や湿度を見極めながら生地を仕込み、最高級無塩バターを丁寧に折り込んでいく。この手作業のこだわりこそが、一口かじった瞬間に広がる芳醇なバターの香りと、噛みしめるほどに広がるもちもち食感の黄金比を生み出している。