「朝起きて普通に出社しただけなのに、昼過ぎには頭が鉛のように重く、思考がシャットダウンしてしまう」――SNSの当事者コミュニティや知恵袋、発達障害の当事者手記には、こうした日常的なエネルギー切れを訴える生々しい告白が溢れています。この深刻な消耗は、決して体力不足や甘えではなく、明確な発達障害脳疲労メカニズムによって生じています。
人間の脳には、何もしていない安静時にアイドリング状態で働く「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」と、作業に没頭するときに作動する「中央実行系ネットワーク(CEN)」が存在します。定型発達の脳では、仕事に取り掛かると瞬時にDMNのスイッチがオフになり、エネルギー消費を効率化します。しかし発達障害の脳では、このスイッチングがスムーズに行われず、作業中もバックグラウンドで無数の思考や雑音が暴走し続ける「DMNの過活動」が発生します。例えるなら、重いアプリを数十個バックグラウンドで起動したままスマートフォンを操作し続けているようなものであり、脳のブドウ糖は急速に枯渇します。
さらに、周囲が驚嘆するほどの集中力を発揮する一方で当事者を激しく消耗させる発達障害過集中理由も、この回路の極端な偏りで説明がつきます。ドーパミン分泌の変動によって特定のタスクに脳の全リソースが強制配分されると、時間の感覚や空腹、身体の疲労シグナルを脳が完全に無視してしまいます。結果として過集中が解けた瞬間、前頭葉が深刻な機能停止に陥り、数日間にわたって起き上がれなくなるほどの反動を生むのです。