柊あおいが『りぼん』(集英社)に連載し、後に徳間書店から刊行された原作漫画と、スタジオジブリによるアニメーション版では、天沢聖司と月島雫の距離感の描き方に興味深い差異が存在する。原作の聖司は画家を目指す少し生意気な少年として登場するが、映画版ではヴァイオリン職人という職人気質な夢を持つキャラクターへと再構築された。
この変更により、聖司の「執着心」は、ひとつの技術を突き詰める職人気質としての情熱と表裏一体のものとして昇華された。雫に対する強い関心も、作品制作に対する集中力と同様、彼の中に眠る圧倒的な「モノづくりへの没頭」と同質のエネルギーなのだ。雫が彼の情熱に恐怖を覚えず、むしろ触発されて自ら小説を書き始めたのは、二人が同質の表現者としての魂を共有していたからに他ならない。