物語の主人公であるゴン=フリークスは、本来、純粋無垢で奔放な少年として描かれてきた。しかし、キメラアントの護衛軍・ネフェルピトーとの対峙において、その純粋さは狂気へと反転する。カイトを治癒させることが不可能であると突きつけられた瞬間、彼の精神世界は音を立てて崩壊した。二度と念能力を使えなくなってもいい、命がここで途絶えても構わない。その極限状態の覚悟が、過酷な能力開花をもたらす。
肉体を強制的に数十年分成長させ、王メルエムすら脅かすほどの圧倒的なオーラを纏った姿は、ファンの間で「ゴンさん」と通称されるようになった。だが、その威容の裏にあったのは勝利の歓喜ではなく、底なしの虚無感である。目的を果たした後に訪れた肉体の壊死と凄惨な代償は、読者の心に消えない爪痕を残した。