日本の優れた公的医療保険制度の象徴である高額療養費制度。月々の自己負担額に上限が設けられているため、「医療保険すら不要」と主張する極論も存在する。しかし、現実の病院関係者や専門家が口を揃えるのは、制度の枠外に存在する「見えにくい出費」の重さだ。
差額ベッド代や先進医療の技術料、入院中の食事代や身の回り品の購入費は、一切高額療養費制度の対象にならない。さらに医療技術の進歩に伴い、長期入院から短期入院+通院治療へのシフトが加速。通院時の交通費や自費診療の費用がボディブローのように家計を蝕む。公的保障だけに依存する安全神話は、実情にそぐわなくなっている。