標高1000メートルを超える信州の山あいに位置する集落。朝靄が立ち込める杉林の奥で、ノートPCを開きロンドンや東京のクライアントとオンライン会議をこなす30代エンジニアの姿があった。数年前まで携帯電話の電波すら怪しかったこの地域は、次世代低軌道衛星通信の全域カバーによって一変した。
「以前は都市の満員電車と騒音に削られる毎日でした。ここでは窓を開ければ澄み切った清流の音が響き、通信速度は都心のオフィスと変わらない。仕事の生産性はむしろ格段に上がっています」。かつて都内のIT企業で打刻に追われていた男性は笑う。便利さを捨てることなく自然の懐に飛び込む「デジタル山家スタイル」が、2026年の労働観を根底から塗り替えつつある。