あられの品質を左右するもう一つの決定的な要素が「火入れ」の工程だ。乾燥させた餅生地を焼き上げる際、その日の気温や湿度、生地に含まれる水分量によって、最適な焼き時間は刻一刻と変化する。全自動化が進む現代においても、最後の決め手となるのは職人の五感と長年の経験に裏打ちされた直感だ。
焼き窯から立ち上る煙の匂い、パチパチとはじける音の変化、そして表面のうっすらとした色の変化。職人はコンマ数秒のタイミングを見極め、釜から網を上げる。この一瞬の判断ミスが、生地の香ばしさを殺してしまうこともあれば、焦げを生んでしまうこともある。まさに伝統工芸品の制作にも似た緊張感の中で、極上のあられが生まれているのだ。