門を下から見上げると、天井板を張らずに組み上げられた巨大な木組みがむき出しになっていることに気づく。これが、治承の平重衡による南都焼討からの復興を率いた僧・重源が中国の宋から導入した「大仏様(天竺様)」と呼ばれる革新的な建築様式だ。
無骨で豪快な水平の貫(ぬき)が柱を力強く貫通し、建築全体の強度を極限まで高めている。装飾を削ぎ落とし、構造そのものを美として昇華させた東大寺南大門は、機能性と美観が完璧に融合した傑作だ。巨大な台風や幾多の地震を幾重にも耐え抜いてきたこの歴史建築には、当時の職人たちが注ぎ込んだ知恵と情熱が刻まれている。