本作の最大の勝因の一つが、主演に抜擢されたEMILYの存在感だ。男女フォークデュオ「HUG PROXIES」のシンガーソングライターとして活躍していた彼女は、本格的な演技経験がほぼゼロの状態でオーディションに臨んだ。
オーディション会場で見せた飾らない立ち振る舞いと、剥き出しの感情表現が監督の心を揺さぶった。スクリーン上で彼女が見せる叫びや流す涙は、演技の枠を超えた真実味を帯びている。傷つき、怒り、それでも歌うことを捨てきれない主人公の姿は、表現者・EMILY自身の魂の叫びと完全にシンクロしていた。