2015年12月、大手広告代理店である株式会社電通に入社したばかりの高橋まつりさんが24歳の若さで命を落とした。過酷な残業時間は月100時間を大幅に超えており、休日出勤や深夜労働が常態化していた実態がのちに判明する。事態を重く見た三田労働基準監督署は2016年、労働災害(過労自殺)として認定した。
長年にわたり広告代理店業界では、「クライアントファースト」の名のもとに際限のない業務追及が正当化されてきた。当時の調査報道ジャーナリズムによる密着取材や内部告発は、タイムカード上の労働時間と実際のパソコンログイン履歴との深刻な乖離を暴き出した。会社側が過少申告を暗黙のうちに促していた構造こそが、業界全体に潜む隠された真相であったと言える。