定番のねぎまやレバーはもちろん美味だが、焼き鳥の真の醍醐味は希少部位にこそある。一羽からわずかしか取れない「ソリレス」(もも肉の付け根にあるピンポン玉大の筋肉)や、首周りのジューシーな「せせり」、ハツとレバーを繋ぐ「こころのこり」。これらをメニューに見つけたら迷わず注文したい。部位ごとに異なる脂の乗りや食感の違いを知ることで、酒場での時間は何倍も深みを増す。
そして、店ごとのアイデンティティとも言えるのが秘伝のタレだ。何十年にもわたり注ぎ足され、何万本もの鶏の脂と旨味が溶け込んだタレは、もはや調味料の枠を超えたひとつの芸術品。醤油のキレとみりんの甘みが絶妙なバランスで熟成されたタレを纏った串は、炭火でキャラメリゼされ、芳醇なコクで舌を包み込む。