土俵を取り巻くメディア環境は、かつてないスピードで進化している。テレビの大相撲本場所中継を長年支えてきた高画質な映像技術に加え、NHKプラスや各種ネット配信サービスによる見逃し視聴やマルチアングル配信が定着した。
若い世代や海外のファンは、スマートフォンを通じて力士の仕切りや豪快な決まり手をリアルタイムで追体験している。これにより、力士個人のキャラクターやバックストーリーへの関心は急速に高まった。親方たちの解説も、専門的でありながら親しみやすいトークが求められるようになっている。
ファン層の拡大とデジタル化の恩恵を受ける一方で、土俵の神聖さとエンターテインメント性のバランスをいかに取るかという課題は残る。外に向けた発信が加速すればするほど、閉鎖的と見なされがちな年寄名跡制度への世間の視線は厳しさを増していく。