岩手の地で大きな夢を育んだ大谷翔平。彼が花巻東高等学校のエースとして放った最速160km/hの衝撃は、今なお色あせない。2012年夏の岩手県大会準決勝で刻まれたあの数字は、単なる記録以上の意味を持っていた。右股関節の故障に苦しみ、思い通りの投球ができないもどかしさを抱えながらも、マウンドで覚醒した瞬間だった。
当時の裏側を知る関係者の間では、怪我を押して登板した際の緊迫したやり取りが語り草になっている。スカウト陣が固唾をのんで見守る中、スピードガンが表示した「160」の数値。ネット裏は騒然となり、高校生の投球に対して誰もが言葉を失った。まさに伝説が現実へと変わった瞬間だった。