マウンド上で異彩を放ったのは山本由伸だ。この日の山本は、立ち上がりこそ直球が高めに浮く場面が見られたものの、2回以降は別人のような制球力を披露。特にロイヤルズの中軸打線を相手に見せた、スプリットとカーブの絶妙な高低差の出し方は芸術的ですらあった。
圧巻は5回表、2死二塁のピンチで見せた三振劇だ。フルカウントまで粘る相手4番打者に対し、山本が選択したのは内角ギリギリに決まる158キロのストレート。バットは空を切り、審判の右腕が力強く上がった。捕手との息もぴったりで、一瞬の隙も与えないピッチングデザイン。要所を締める勝負強さは、まさにエースの矜持そのものだった。