都内のビジネス街にある純喫茶のオーナーマスターは、現在の営業環境について次のように心情を明かします。
「うちは創業45年、客席面積も70平米程度なので、法改正時も悩んだ末に『喫煙可能室』の届出を出しました。近隣のオフィスビルがすべて敷地内全面禁煙になった結果、昼休みや夕方にはタバコを吸いたいサラリーマンが押し寄せます。『ここがなくなったら本当に吸う場所がない』と常連さんに懇願されますよ。ただ、未成年のお客様をお断りしなければならないため、休日に若いカップルがSNSで見てクリームソーダを目当てに来店されても、年齢確認をして入店をお断りせざるを得ないのが心苦しいところです」
SNSやネット掲示板を検証しても、愛煙家側の切実な声が溢れています。
「カフェ難民になって30分歩き回り、結局コンビニ前の喫煙所を探す羽目になった」
「席で珈琲を飲みながら原稿を書ける純喫茶は、いまや文化財並みに貴重」
こうした声がある一方で、非喫煙者側からも「受動喫煙の心配がなくなったことで、安心して長居できるカフェが増えた」という歓迎の声が根強く存在し、喫茶店というパブリックスペースのあり方は今も静かな分水嶺に立っています。
現場で顕著に見られる新たな現象が、「紙巻き派」から「加熱式派」へのユーザー側の適応です。喫茶店の多くが「加熱式なら座って珈琲を飲める席を用意している」という実利的な理由から、外出時専用として加熱式デバイスを持ち歩くビジネスパーソンが激増しました。都市空間のルール変更が、個人の嗜好ツールの選択にまで直接的な影響を及ぼしています。