写真集の制作・発売において、世間が最も注目したのは夫である映画監督・周防正行氏の反応でした。二人は1996年公開の映画『Shall we ダンス?』をきっかけに出会い、同年3月に結婚。新婚生活が始まって間もない時期のオファーであったため、夫婦関係にどのような影響を与えるのかが芸能メディアの関心事となっていました。
しかし、周防監督の姿勢は終始一貫して寛容であり、何よりも妻である草刈民代さんを「ひとりの独立した表現者」として深く尊重するものでした。映画監督として表現の自由と芸術の価値を誰よりも理解している周防氏は、篠山紀信氏という稀代のアーティストが妻の美しさをどう切り取るのかに理解を示し、出版を快く後押ししたと伝えられています。
妻の決断を狭量な独占欲で縛るのではなく、その才能と芸術活動を心から誇りに思う周防監督のスタンスは、当時としても先進的で大きな話題を呼びました。周囲の余計な邪推を吹き飛ばす夫婦の強固な信頼関係があったからこそ、草刈さんは迷いなくレンズの前に立ち、表現の極限に挑むことができたと言えます。