日本国内では敬遠されがちなブーメラン水着ですが、国境を一歩越えるとまったく異なる文化的受容がなされています。
代表的な例がオーストラリアです。同国ではブーメラン型水着が「Budgie Smugglers(バジー・スマグラ=セキセイインコを密輸しているように見えるパンツ)」という愛称で親しまれ、ビーチカルチャーの象徴として確立しています。ライフセーバーやサーファーはもちろん、一般市民から首相経験者(トニー・アボット元豪首相など)に至るまで、公のビーチで堂々と着用する姿がメディアで報じられてきました。オーストラリアでは「太陽光を浴び、水と戯れるための合理的で飾らないスタイル」としてポジティブに認識されています。
また、フランスやイタリア、ギリシャなどの地中海沿岸リゾートでも、男性のビキニ水着着用率は依然として高い水準を維持しています。ヨーロッパでは日焼け跡をできるだけ残さないための機能美として捉えられており、年齢や体型に関係なく自己の身体を自然体で楽しむ文化が根付いています。
日本と海外におけるこの評価の乖離は、「公共空間での身体露出に対する道徳観」と「個人主義的な実用性の優先」という文化的な価値観の違いに起因しています。他者への配慮や同調を重視する日本社会と、個人の快適性や自己表現を尊ぶ諸外国との差異が、水着選びにも鮮明に表れています。