長年語り継がれる本作には、ファンの間で密かに語られる興味深い裏設定や制作時のエピソードが存在する。その最たるものが、物語前半における衝撃的な転換点――和也の死に関するプロットだ。原作者のあだち充は連載当初からこの展開を決意していたとされるが、編集部からは猛反対を受けたという。しかし、この運命的な出来事こそが達也の眠っていた才能を開花させ、真の物語を始動させる触媒となった。
また、アニメ版の演出において徹底されたのが「あえて語らない」手法である。セリフを極限まで削ぎ落とし、風の音やセミの鳴き声、風鈴の音といった環境音を強調することで、キャラクターの心情を雄弁に物語らせた。こうした音響監督のこだわりが、作品に漂う切なさを何倍にも増幅させている。